続。男の嫉妬

 

前項「男の嫉妬」でボクは

“自分より劣っていると思っていた、後輩たちに子供ができた時が一番嫉妬する”

という自論を述べさせていただき、それによって読者の皆様にお叱りをうけたと思い込みました。今回はその続き。

 

「あんた不妊治療を仕事かなんかと勘違いしてない?」

あ、いやそういうわけでは…。というかちょっとあるかも。

 

お金と時間を使って、情報を収集して、やるべきことをやって。早く効率的に妊娠という「成果」と子供という「報酬」が得られるように。そういえば仕事と一緒だな…。

 

女性にとってはまさか不妊治療や妊娠が仕事と一緒なんてことはないですよね。それは自分のカラダの中で確実に行われているもの。激しい痛みを伴った、生々しくて神聖でかけがえのないもの。

 

残念ながら、そして申し訳ないことにボクら男性はそれを感じることができません。いくら努力しても。いくらいっしょにたたかっている気になっていても。女性に比べて妊娠、出産に対する「リアリティ」が圧倒的に足りてない。不妊治療中とか妊娠中とかによくあるような夫婦間の温度差ってこういうところから来るのではと思っています。

 

今思えばボクも不妊治療中、後輩の奥さんの妊娠に嫉妬していたころは、このリアリティが足りていなかったのだと思います。そう思うのは…娘の死産を経験して大きく意識が変わったから。

 

死産で産まれてきた娘を抱いたとき、もちろん亡くなってはいたけれど、あの時あの瞬間、娘はたしかにボクの手の中にいて、ボクはたしかにあの娘を守る父親でした。それはものすごい感動とよろこびと実感をともなった経験でした。ものすごいリアリティでした。

 

だから今はまわりの妊娠や出産に嫉妬することはあまりなくなりました。

もっとシンプルに、率直にボクは

「羨ましいな」

と思うようになりました。

 

 

いつだって感情をざわつかせる出来事は、自分の意思に関係なくおこってしまうもの。周りでそういう会話が始まったらそっとその場を離れるようにしています。無理に「おめでとう」なんていわなくていい。幸せオーラいっぱいのアイツは、ボクが「おめでとう」言ってないなんてたぶん気づきもしないだろう。

 

そしてそんな日は、うちに帰って奥さんに話します。

「同僚の○○の奥さん妊娠したんだって。聞いててすごくつらかったよ」

「産休中の○○さん、今日赤ちゃんつれて挨拶きたよ。羨ましいな」

「うん、それはつらかったね。よくがんばったね」

 

いろんな感情のざわめきに襲われるのは苦しいものです。それは不妊や流産、死産の喪失に悩む人にとってはごく当たり前で避けられないもの。でも同じ経験をすれば誰だってきっとそうなる。だから自分を責める必要なんかない。つらい気持ちはできるだけだれかと分け合っていこう。それはパートナーでも、友達でも、ブログの掲示板でもいい。できるだけ、自分が苦しくならないようにしていこう。

 

ボクはそう思うようにしています。

 

 

 

次回は不妊治療記「19.不妊クリニック、再び」です