もしあなたの親しい人が死産を経験したら?
もちろん励ましたい、慰めたい。でもおそらくどう言葉をかけていいのか、どう慰めていいのか分からないのではないでしょうか。
この項ではボク自身が死産を経験したものとして、自分だったらこうして欲しいな、こうしてあげたいなと思うことを書いてみたいと思います。
元気に産まれて一緒に生きていくはずだった子供が亡くなる悲しさは、他に例えようもなく大きく深いものです。
どうかあなたの親しい人がその悲しいお話をされるときは、ただ「うんうん」とその話を聞いてあげてください。「つらかったね」「がんばったね」と言ってあげてください。
決して無理に励ましたり、元気づけようと思わないでください。
元気出して、といわれても元気は出ません。
しっかりしないと、いわれても涙は止まりません。
また次の子を、といわれてもそういう問題じゃありません。
がんばれ、って何をがんばってもあの子は帰ってきません。
慰めようと思ってくれるのはありがたいのです。でもその力を借りても、前に進む力はすぐには出てきません。慰めにならない慰めの言葉は、むしろその人を孤独にさせます。「誰もわかってくれない」と思わせてしまいます。
死産を経験した後は自分でもどうしたいのか、どうしてほしいのか、どうすればいいのか、いつもわからなくなります。心の傷は時間をかけて埋めていくしかありません。どうかそっと見守ってあげてください。決して急かさないでください。とても時間がかかることだと理解してあげてください。
それでも何か具体的にできることがないかとお探しでしたら、亡くなった子の名前と、亡くなった日を聞いてみてください。その半年後、1年後をスケジュール帳やカレンダーにメモしておいてください。そしてその日が来たら、そっと声を掛けてあげてください。
「○○ちゃん、そろそろ半年だね」
「○○ちゃん、今日は1歳のお誕生日だね」
死産で亡くなった子供は、戸籍にも載らないし、誰かにその姿をみせることもない。
だから周りの人はみんな、その子のことを容易に忘れてしまうだろう。親であるボクたちには、絶対に忘れられない子だとしても。
それは仕方ないことだとはわかっている。だからいつまでも忘れないでとは言わない。それでもできれば、あの子のことを時々は思い出してやって欲しい。ほんの短い時間でもあの子がこの世にいたことを、時々は感じてやって欲しい。
ボクたち子供を亡くした親は、それを声高に主張はしないけど、たぶん皆そう思うと思います。半年経って一年経って、それでもあの子のことを覚えてくれていた、あの子の名前を呼んでくれた。それはとても嬉しく、心救われることです。
どうか
急かさず、ゆっくりと見守ってあげてください。
亡くなった子のことを時々思い出す工夫をしてみてください。
そして、忘れてないよと伝えてあげてください。
ボクたち死産を経験した親たちは、それでずいぶん救われます。
次回は天使のはなし「34.メモリアルベア」です