あるブログで気になったこと

 

先日ある不妊治療情報に関するブログを拝見していて気になったこと。

 

「○○病院の××先生が学会でこんな発表をされてました!」

といってデータが書き並べてある。

 

これ、ちょっと普通の人は誤解してしまうかもしれないなと思いました。

学会で発表されたということは正しいデータなんだな、と。

 

実はボク、職業がら医学系の学会や論文と関わることがあります。

結論からいうと、「学会で発表されたデータ=正しいデータ」ではありません。

 

学会発表というのはあくまで研究者個人(この場合はお医者さん)が自前で研究したデータを発表して、それに関して他の専門家たちと議論するためにあります。その中には研究結果に批判的な意見ももちろん含まれます。

つまり「学会で発表されたデータ」というのはあくまで個人の研究者によって発表されただけで、これから周りからの批判を受けるためのデータ、すなわちまだ他の専門家たちには認められていないデータなのです。

 

一方、似て非なるものは「論文に載ってるデータ」。実はこれはある程度正しいデータといえます。なぜなら他の専門家たちに認められないと論文に載らないから。

 

論文というものは研究者個人が勝手に発表できるものではなくて、たいがいは学会が発行する学会雑誌というものに投稿して掲載されるものなんですね。

研究結果を論文にするときに書かなければいけない内容は学会発表とは比べ物にならないくらい詳細で厳格なものです。それを一生懸命書き上げて雑誌に投稿すると、その道の権威ある人(査読者といいます。しかも何人もいます)がしっかりじっくり読んでいろんな指摘や批判をして突き返されるわけです。たとえば「こんなデータのとり方じゃダメだよ!」とか「××の可能性はちゃんと考慮して研究したの?」とか「○○って書いてあるけどなんでそんなことお前にわかんの?根拠を示しなさいよ、根拠を!」だとか。

 

涙ながらに指摘されたことを修正する、でまた提出する、また突き返される、めげずにまた修正する。

 

それを繰り返してようやく、「うん、ちゃんとした研究データだね」と査読者たちが認めてくれてはじめて「論文に載ってるデータ」になるのです。

 

というわけで「論文に載ってるデータ」というのはまぁほぼほぼ信用してよい。有名なリプロダクションクリニック大阪の松林秀彦先生のブログなどはその辺が明確にされているので、信頼できる内容としてボクも愛読してます。

 

誤解してほしくないのは最初に出てきた「学会で発表されたデータ」がウソです、デタラメです、と言っているのでは決してないこと。多分ほぼほぼ正しいです。学会発表だってそれなりに専門家の審査を通らないと発表できませんからね。

ただ問題なのは学会発表の場合はそのデータが正しいということを後から検証する方法がないということなのです。正しいということを誰も保証できないということなのです。

 

じゃあ論文になってるものなら何でもOK?残念ながらそうでもありません。

学会、あるいは学会雑誌には「格」というものがあります。会員数が多い、歴史のある学会は「格」が高い。論文審査も(とっても)厳しい。当然、研究としてデータとしての信頼も高い。逆に「格」が低い学会の論文なら…?

 

「学会で発表されたデータ」「論文に載ってるデータ」はいずれも、まぎれもなく「医師が、専門家が言ってること」です。しかも当然実名で。でもそれすら厳密にいえば疑わしいということ。

 

ましてや誰が書いたかわからないようなネット記事なんて…まぁ厳密にいえばですよ。

 

というわけなのでこのブログではできるだけ「複数の専門家」によって書かれた文献、たとえば主要学会の出しているガイドラインや指針、研究班報告などを参考文献として使い、出典を明らかにするようにしています。

でもそれだってホントに信用できるの?たとえば学会だとかお役所だとかの利権が絡んでたりして裏で情報操作されたりしていたら…とか考えるともうキリがない!えげつない情報リテラシー!ていうかリテラシーってそもそもなんだ!

 

そしてなによりこの記事だって…

立派な匿名ブログの1記事に過ぎませんし。

とんでもないデタラメかもしれませんし。

 

というわけなので

信じるか信じないかは…

あなた次第です(ΦωΦ)ふふふ。

 

 

 

次回は天使のはなし「06.心音計」です


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