おすすめの本:自分で心を手当てする方法

 

よもやま話「死産を経験された旦那さまへ」で参考文献に挙げさせていただいた本NYの人気セラピストが教える 自分で心を手当てする方法についてご紹介させていただきたいと思います。この本との出会いはインターネットに公開されていた著者のTEDスピーチでした*。 

著者のガイ・ウィンチ氏はアメリカの心理学者。スピーチで語られるなかで一番おもしろいのはこの話。

 

心に傷を負って落ち込んでいる人には

「ああ 落ち込んでるの?気にするな、そんなの気の持ちようさ」

なんてことを言ったりする。

でも、脚を骨折した人に

「ああ 歩いてみろよ。気にするな、そんなの脚の持ちようさ」

なんてことは誰も言わないでしょう(笑)?

 

彼のスピーチは要するに、「心の傷も、身体の傷と同じように扱わなければいけない」ということを言っている。

 

では同じように扱う、とは?擦りむいたら絆創膏を貼るように、ご飯を食べたら歯を磨くように、「心を手当てする」あるいは「心の衛生を保つ」方法を知っておかなければいけないということ。ちゃんとそれを教わらないといけないということ。

 

なるほど、言われてみればそうだ。ボクだってたとえば容姿や能力へのコンプレックス、失恋、受験に失敗したこと、長い不妊治療、そしてもちろん我が子を亡くした喪失…、たくさん心に傷を負っている。

でもその心の傷の手当ての方法を、ボクは誰からも教わったことはない。その時思いつくままにもがいて、いろいろ試して、結局は時間が解決してくれたようなものだ。

ちゃんとした手当ての方法があるなら最初から教えてほしい、とボクは思う。もちろん心の問題は個人的で主観的なものではあるけれど、大多数の人にとってうまくいく方法があるのなら、まずそれから試してみるのが賢いやりかたってもんだろう。それでだめなら自分なりの方法を考えればいいわけで。

 

というわけでボクはこのスピーチに大変感銘を受け、和訳されている著書を探しました。そして見つけたのがこの「NYの人気セラピストが教える 自分で心を手当てする方法」でした。

 

はじめのページで、ボクはいきなりしびれる。

「この本で紹介する治療法はすべて、最新の心理学の研究成果に基づくものです。正式な査読を経て有名な学術誌に掲載された、信頼できる理論を根拠にしています」

このブログでもよく根拠だの論文だの信頼だのとホザいているボクは、早速ムフフとなる。

 

本は全部で7章編成になっていて、それぞれ心の傷の種類に分けて書いてあるのだけど、やはり今のボクが一番読みたかったのは「第3章 大切なものを失ったとき-喪失、トラウマ」の項(ちなみにTEDスピーチではこの項の内容には触れていない)。

 

「(喪失、トラウマからの)回復のプロセスは基本的には同じです。折れた心の骨を寄せ集めて正しい形に戻し、元通りにくっつくのを待つのです」

 

うんうん、なるほど。

 

本の内容には自分の経験と照らし合わせてみて「おっ、わかるわかる」となるところもあれば、「知らなかった!」と膝を打つところもある。ボクが特に印象に残ったところを2つご紹介させてもらうと、

 

語らないほうがいいこともある

「語ること」は心の痛みに対する癒しになるといわれている。カウンセリングとか、心許せる友人にとか、遺族懇話会だとか。確かにそういったことは有効な癒しになるとボクも思っていた。

でも「いつも」有効なわけではなく、語ることが逆効果になることだってあるらしい。語るためにそのことを思い出すことが良くないことがあるんだとか。本では9.11のテロ被害者のPTSDについての研究結果などを使ってこの説明がなされている。

だから心に傷を負った人にカウンセリングを勧めるとか、つらい体験の話を聞かせてもらうとかいうことは決して「無理に」やっちゃいけないんだな。その人が本当にそうしたがってるかどうかを、ちゃんと見極めないといけないんだな。

 

「もしもこうだったら…」と考えてみる

つらい体験を振り返って、「もしも…」なんて考えるのは無意味な現実逃避に思えるけど、科学的にはそれが有用であることが証明されているらしい。「もしも」を考えることで「そうなるべくしてなったのだ」と納得するための大事な一歩なんだとか。コツはよい可能性だけでなく、悪い可能性を考えること。

あ!ボクこれやってた!「31.終診」でやってた!

そっか、あれは科学的にも良いことだったのか~。納得。

 

この本は他にも「自分をうけいれてもらえなかったとき」「誰ともつながっていないと感じるとき」など、いろんな心の傷に対する心理学的な知見と、手当ての方法が書いてあります。どんな方でも、きっとボクみたいに「わかるわかる」「なるほど!」「へ~知らなかった」と思うことがたくさんあると思います。心の傷に苦しむ人にはぜひおススメしたい1冊です。

 

*ガイ・ウィンチ氏のTEDスピーチ動画はこちらで無料公開されています。17分ほどある長い動画なので、時間のない方はスピーチ内容を書き起こしたこちらをどうぞ。

 

NYの人気セラピストが教える 自分で心を手当てする方法

 

 

 

次回は天使のはなし「32.みたび、不妊クリニック」です