とある友人夫婦のお話。30代半ばでご結婚。奥さまは初婚だが、旦那はバツイチ子持ち。結婚してから子供を希望してはいたけど、なかなか自然にはできなかった。奥さまは不妊治療をしたいと申し入れたが、旦那は不妊治療してまではいらない、と反対した。
さて、この話。おそらく不妊に悩むご夫婦にはとってもよくある話でしょう。普通に読み解けば、
「この旦那さんはあまり子供がほしくないのね」
「すでに前妻との子供がいるからそれで満足なのね」
という感じでしょうか。一方男性目線からするとこれは旦那なりのやさしさなのだな、とも思うのです。
多くの男性にとって不妊はまだまだ女性側の問題という意識が強い。特にこの旦那の場合はすでに前妻との子供がいるので、自分が原因ではないと確信している。
子供ができない
→ きっとうちの奥さんは不妊体質なんだな
→ 不妊治療を受けたいだって?そうか、そんなに思い悩んでいたのか
→ そんなこと悩まなくてもいいよ。子供なんていなくても二人で楽しくやっていこうよ
つまり「不妊治療してまでいらない」には「キミがそんなに悩んでつらい思いをするくらいなら、ボクは子供がいなくても我慢できるよ」という意味が含まれているのです。男なりのやさしさ、いたわりなのです。
でも奥さま方、きっとこう思うでしょう。
「いや、そういうことじゃなくて。あなたも協力してね、って意味なんだけど」
男のやさしさというのは女性にとっては往々にしてピントのずれたものです。ずっと前にちょっとだけ欲しがっていたものを急にプレゼントされたこととかありませんか?
男が期待するのは「まぁうれしい!覚えててくれたのね!」。でも女性側からすると「いや、前は欲しかったけどいまはそんなに…ていうかこれ買うんだったら他に欲しいものが…」。
うんうん、あるある。
まぁね。男はいつでも奥さんによく思われたいんです。私のこと愛してくれてるのね、やっぱりうちの旦那カッコいいって思われたいんです。褒められたいんです。愛情表現なんです。だから奥さま方には大目に見ていただいて…ってわけにはいきませんよね、不妊治療するかどうかの場合。プレゼントのことくらいなら別にいいけど(よくないか)。
前述のご夫婦がそんなだったかどうかは想像の域を出ませんが、旦那の方にもそういったやさしさ?いたわり?的な気持ちもあったりする可能性もなきにしもあらずだったのかもしれない、多分。知らないけど。
とはいえやっぱり本当の男のやさしさは“子供が欲しい”という奥さまの希望がかなうように努力することですよね。重度の男性不妊とかを除けば、当然不妊治療って女性のほうがはるかにつらい。それでも二人の間の子供を授かるために不妊治療を受けたい、そして激しい痛みに耐えてその子を産みたいと言ってくれる奥さまに、ボクら男性陣は深く深く感謝しないといけないのです。
と、ボクも自分にも日々言い聞かせてはいますが、時々忘れて叱られます(;^ω^)*。ごめんなさい。
*「15.ここトト、奥さんに叱られる」参照
次回は不妊治療記「24.え!妊娠した!」です