夏の日、奥さんが妊娠4か月を迎えるころ。
その日は、あの流産*からちょうど1年の日でした。
奥さんのおなかに宿ってくれた、ボクたちのはじめての子ども、ダイチ。
流産とはいえ、おなかから出てきた日のことは“誕生日”と呼んでやりたいとボクたちは考えていました。
1歳の誕生日。
おめでとう、ダイチ。
誕生日プレゼントにと、ボクはおもちゃ屋で小さなミニカーを買いました。
ボクが前から欲しくて、中古ならなんとか買えるかな~と画策していたけど、結局子育て向きじゃないからとあきらめた、フィアット チンクチェント。ルパン三世も乗ってたあのクルマ。
ミニカーなんて自分で買ったことなかったけど、意外と安いもんなんですね。1つ400円くらい。でもビックリするくらいよくできてる。
小さい頃はボクもよく買ってもらったミニカーで遊んでた。飽きもせずに何度も何度もブーブーと。お気に入りのやつは塗装が剥げてボロボロになってたな。新しいのをねだってもなかなか買ってもらえなかったような記憶がある。今思えば400円くらいのものポンと買ってくれてもよさそうなものだけど(。-`ω-)、両親なりの考えがあったんだろうなと今では思う(今度聞いてみよう)。
自分だったら…どうなんだろうな。どうなってたんだろうな。
いろんなことを考えてしまう。
ボクと奥さんはお花とミニカーをもって、あのお寺**を訪れました。
水子供養のお寺だけあって、祭壇にはたくさんのお菓子やおもちゃが並んでいる。ボクはミニカーを箱から取り出して祭壇においてやりました。
きっとダイチは天国でたくさんの友達と遊んでる。お互いのミニカーを見せあって、ボクのほうがカッコいいぞ、なんて。
どうか元気で、幸せでいるんだよ。おなかの弟妹をしっかり守ってやるんだよ。
ダイチは、もうすぐお兄ちゃんになるんだからね。
*不妊治療記「27.流産」
**不妊治療記「28.水子供養」
次回は天使のはなし「06.心音計」です
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