はじめての不妊クリニック、診察を終えて受付へ。お会計と次回予約。そして…
「次回はご主人さまの検査もありますのでご主人さまも保険証お持ちくださいね。採精はご自宅でも来院時でも可能ですが、どちらにされますか?」
うっ。きた。採精。精液検査。まぁ次回も一緒にくるつもりだし、家でダして時間が経ってるやつより、検査直前にダしたフレッシュなやつのほうがいいに決まってる。
「えっと…病院でします。」
「わかりました、では当日ご案内しますね。ではまた次回~」
終わった。帰り道、車中。
「どうだった?」
「うん、なんか感じいい病院だったね」
「先生、ベテランだったね」
「寝ぐせすごかったね」
「ふふふ」
「ふふふ」
「次はここトトも検査だよね?大丈夫?イヤじゃない?」
「ぜんぜん大丈夫っす。」
ぜんぜん・・・かな?不安がないわけではないけど。
でもボクは不安とか恥ずかしいとかよりも、何より自分も検査を受ける必要性を強く感じていました。
ボクには実際に男性不妊を克服した友人がいました。
彼によればすぐに原因が分かったおかげで妊娠の見込みのないムダな治療をうけることなく、すぐに効果的な治療に移ることができたとのこと。結果的には1回目の顕微授精が成功し、ほんの数か月で不妊治療を終了したそうです。
彼の口調からは「不妊治療って大変」感はほとんど感じられませんでした。
今思えば、この友人はうまくいきすぎるくらいうまくいったケースでしょう。
でもやっぱり身近な体験談は、ネット上のデータよりずっと説得力がある。
男性不妊ってやっぱり珍しくないんだ。
男性不妊だったらすぐ治療できるんだ。
男性不妊のほうが治療もラクかもしれないんだ。
そんなわけでボクはこの時点で、
男性不妊上等!なんなら簡単に原因わかってもうけもん!
ぐらいにすごくすごく前向きにとらえていました。
*これはあくまでその時のボクの感想です!男性不妊にもいろいろあります。治療困難な場合もあります。このときはボクが勉強不足で勝手に能天気な誤解をしていたのだと思って読んでください。不謹慎な表現で本当に申し訳ございません。
でもね…。もちろん怖くないわけじゃないんです。
彼は男性不妊だとわかった時、「目の前が真っ暗になった」と言っていました。
うん、そうだよな。自分が原因だったら…やっぱりショック。劣等感。奥さんに申し訳ない。そんな結果が出るのは…やっぱり怖い。
でもそれはもちろん奥さんだって同じことです。
男性不妊でも女性不妊でも、ボクが悪いわけでも奥さんが悪いわけでもない。
だれの子供でもいいわけじゃない。ボク達二人の子供がほしいわけで。
だから原因がどうあれ、結局は二人ともの問題なんです。
ボクはそう思います。
大丈夫、解決方法はあるんだから。
原因をひとつひとつ潰していこう。
精液検査なんてかんたんな検査だ。
これでなにか見つかったらそれこそもうけものだ。
そう考えると、ボクはおだやかに検査に臨める気がしました。
ちなみに日本産科婦人科学会 「HUMAN+」によれば不妊の原因が男性側にある割合は48%だそうです!!
「09.精液検査」へつづく