10.不妊治療の決断

 

ボクたちはその後も不妊クリニックへの通院をつづけました。

ボクのほうの検査は前回の精液検査で終わりでしたが、奥さんの方はその後も何度か血液検査や卵管造影検査をうけてくれました。

 

そして数々の検査をうけた結果は…

 

「ひととおり検査を受けていただきましたが…どこも異常ありませんね」

 

うんうん、よかった!

あれ、よかったのか?

 

「検査で異常がなかったということは、つまりは原因が特定できなかったとも言えます。はっきりした治療法はないということですね。実は不妊に悩む方にはこのパターンが一番多いんです」

 

…そういうことだよね。

 

奥さんの方をチラとみると、自分にもとりあえず(あきらかな)異常はなかったという安堵と、でも結局問題は何も解決していないという不安を感じているようにみえました。

 

「このまま治療をはじめるとすると、最初にお話ししたようになるべく自然に近い方法から試していって、徐々に妊娠の確率の高い方法に移っていきます。お二人ともまだお若いので(34歳)、タイミング法からはじめていかれたらよいと思います」

「治療をはじめるかどうかは今決めていただいてもいいですし、一度お宅でゆっくり話し合って決めてもらっても構いませんよ」

 

やさしい言い方にホッとする。でも、気持ちはすでに固まっていました。

 

「治療をお願いします」

 

迷いがないわけではありませんでした。

大変な苦労するかもしれないのもわかってました。

 

でも数回通院して、診察時間やアクセス面でそんなに無理なく通院できることがわかったし、なにより先生やスタッフの方々に対してもいい印象を持てたことがボク達の決断を後押ししました。

 

「うん、わかりました。もしかしたら長いお付き合いになるかもしれません。いっしょにがんばりましょう」

 

帰り道。

 

「とりあえず…大きな異常がなかったのはよかったね」

「うん、場合によっては手術とかしないといけないこともあるみたいだから…。安心した」

「これからまた何度も通うことになるね」

「長い付き合いになるかも、って先生言ってたね」

「そうならないといいけどね」

「そうだね」

 

「ここトトは…不妊治療どこまで続けたいと思う?体外受精とかする?」

 

いわゆる「治療のやめどき」「エンドポイント」。

たしかにあらかじめ決めておいたほうがいい。

 

「今のところ考えてるのは…人工授精まではやってもいいかなと思ってる。人工授精までだったらそんなにカラダに負担もないだろうし、お金もそんなにかからないみたいだし。体外受精は…なんかそんなに不自然なことまでしなくてもと思う。人工授精までやってみてダメだったらもう子供はあきらめて二人で楽しくやろうよ」

「うん、私もそう思ってた。そうしよう」

*この時点では二人とも本気でそう思っていました。しかし治療を進めるにつれ徐々に考えが変わっていき、最終的には体外受精に踏み切ることになります。それはまた後ほど。

 

「うーん、自分が不妊治療するなんて思ってもなかったな」

「うん、わたしも」

「がんばろうね」

「がんばろうね」

「先生、寝ぐせすごかったね」

「ふふふ」

 

11.タイミング法」へつづく


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