10.満月の出産予定日。そして…

 

奥さんと入ったカフェ。となりのテーブルの男性は奥さんのおなかを見て、そっとタバコの火を消してくれました。

奥さんと行った焼き肉店。ご主人は力が付くようにと上等なお肉をサービスしてくれました。

離れて暮らす家族や友達から「産まれた?」「まだ?」なんてメールが頻繁に来るようになりました。

 

ココの誕生を誰もが心待ちにしてくれてる。ココは本当にしあわせな子だなと思いました。

 

まだかまだかと待ち望む日々。

そして…ついに迎えた出産予定日

 

天気予報によればなんとその日は満月!月の満ち欠けと女性周期にはなぜか関係があって、満月の日には産気づきやすいのは有名な話。もうほぼほぼ間違いない。今日、奥さんには陣痛がやってくる。

 

朝から二人ともソワソワ。ボクは奥さんの様子が気になってしょうがない。奥さんはココの様子が気になってしょうがない。でもココはいつもと変わらず胎動ぐにゅぐにゅしてる。

 

あれ?陣痛こないね?どうしたんだろね?

 

そうこうしてるうちに夜になって、空にはホントに満月。しかも大きな大きな。真冬の澄んだ空が、夜とは思えないくらい明るい。満月パワーが降り注ぐ。でもココは相変わらずぐにゅぐにゅ。

 

気が付けば夜11時。出産予定日ももうすぐ終わる。

 

ん~今日はこないのかな?せっかくの満月なのになぁ。まぁボクと奥さんの娘だもの。寝坊助ののんびり屋なのは仕方ないか。

 

あきらめて、じゃあ今日は寝ますかと寝室に向かおうとしたその時!

 

奥さんの顔色が変わりました。

 

「来たかも…」

 

え?来た?陣痛?ココ!?

えーっと、どうするんだっけ?

たしか陣痛の時間を計って、1時間とか30分おきになったら病院に電話して…

 

そうこうしてるうちに奥さん破水。

 

えーっと破水したら…

すぐに病院行くんだった!!

 

ボクたちは病院に電話して、入院セットを詰めたボストンバッグを持って急いで家を出ました。

 

 

家を出るとき、玄関から家の中を振り返ってボクは思いました。

 

今度奥さんがこの家に帰ってくるとき、ボクたちはもう2人じゃない。

きっと奥さんの腕の中にはココがいる。ボクたちの宝物がいる。

この家のすべてはココのためのものになって、ここはココの世界になるんだ。

 

あぁなんて素晴らしいんだろう!

 

いまだかつてないトキメキを感じながら、ボクたちは真夜中の病院へ向かいました。

 

 



 

次回は「11.陣痛

 

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