13.カミングアウト

 

人工授精に移行していくにあたってひとつ大きな問題にぶつかりました。

それは職場」。

 

人工授精ではタイミング法に比べて通院回数も多くなるし、受診日もシビアになってきます。「次の受診はだいたいこの日あたりに~」って感じだったのが、「この日かこの日のどちらかに絶対来てください!」という感じに。「ちょっと思ったより遅れてるな~。ごめんなさい!あさってもう一回来てください!」なんて言われることも。

 

ボクの方はたいして問題ない。問題は奥さんの方。

このころから奥さんの仕事は今までの9時5時勤務から、早番遅番のシフト制になっていました。遅番に入ってしまうと病院の時間に間に合わない。つまりは不妊治療のために職場にシフト調整をしてもらわなければならない。

 

そのためには不妊治療のことを話さなければならない…

 

できれば話したくなかった。誰にも知られずにコッソリと。あたかも自然に妊娠したようにしたかった。

 

奥さんは女性だけの会社で働いていました。

年上の人、年下の人。

結婚している人、結婚していない人。

子供がいる人、いない人。

不妊治療経験がある人、ない人。

 

いろんな女性がいる。あたりまえのように子供を産んで育てている人も、パートナーに恵まれず独り身の人も、仕事のために子供をあきらめた人も…。

そんな中で不妊治療をしているとカミングアウトし、勤務の調整をお願いすることはとてもとても勇気がいることだったと思います。

 

何日も、何日も悩んで。奥さんは職場に話してくれました。

 

上司は(すくなくとも表向きは)こころよく受け入れ、「無理しすぎないように」とアドバイスをくれたそうです。まわりの同僚も納得してくれた。

 

でも…本心ではどう思われてるんだろう。

「そこまでしなくても」

「パートナーがいるだけましじゃないか」

「不妊の人って大変ね」

 

 

誰もホンネなんか言うわけない。でも、なにか思っていることがあるはず。

そんな不安が、それから大きなストレスとしてどんどんどんどん膨らんでいくのでした。

 

 

 

14.先輩の妊娠」へつづく