病室に、透明なアクリル製の
ベビーベッドが運ばれてきました。
真っ白なベビー服を着た、
小さな小さな赤ちゃん。
ココでした。
あぁ。
あぁ、ココ。
やっと会えたね。
ボクがトトだよ。
きみのトトだよ。
ずっとずっと、会いたかったよ。
はじめて見るココは
とてもちいさくて
とてもか弱くて
とても頼りなくて
とてもとても
いとおしかった。
ボクはココを抱きかかえて、
まだ酸素マスクを着けたままの
奥さんの枕元に連れて行きました。
ココ、ママだよ。
ココのこと、ずっと
おなかの中で守ってくれてたママだよ。
ココのことを
一番大事にしてくれてたママだよ。
奥さんも手を伸ばして、
いとおしそうに
ココに触れました。
この時の病室での写真が何枚か残っています。
ボクも奥さんも、泣いたり悲しそうな表情は一切していないのです。ただただ穏やかな、しあわせそうな表情をしているのです。
もちろんココがもう生きていない、動くことも泣くこともないことは悲しかった。
でもなにより、ココに会えて、ココに触れて、ココを抱いてやれることがその時はうれしかったのです。とてもとてもしあわせだったのです。
ココはまぎれもなく
ボクたちの天使でした。
次回は「15.病理解剖」
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