15.ここトト、奥さんに叱られる

 

不妊クリニックに通うようになって、気が付けば1年以上が経過し、通院回数は数えきれないほどになっていました。とくに人工授精を始めてからは月に3~4回。奥さんに必ず付き添っていたボクは、すっかり通院に「慣れ」てしまっていました。

 

そんな中でおきた、ある出来事。

 

ボクは友人と趣味関係のとあるイベントに行くことになっていました(オタク系のとかじゃないよ)。しかしなかなか友人と日程の折り合いがつかず、候補日は1日だけに絞られていました。しかも運悪くその日はクリニックの受診予定日。とはいえ人工授精の日ではなく、その前の排卵日予想のための診察。つまりボクは付き添うだけ。

 

イベントにはどうしても行きたい

ボクはその日は付き添いだけだ。正直、ボクが病院にいかなくても問題はない

そもそもクリニックの大概の患者さんは奥さま一人で来られているではないか

今回だけなら

 

よし。

 

「あの~今度のクリニック、わるいけど一人で行って来てくれないかな?」

「なんで??」

「えっと、○○のイベントがあるんだよね。ちょっと友達がこの日しか都合がつかないみたいで…」

「はぁ!?」

「今回だけだから」

 

もしここで奥さんが「不妊治療と遊びのイベントどっちが大事なのだ?」「私とその友達とどっちが大事なのだ?」といった、よくある「どっちが大事」論争に発展するといささか厄介なことになっていたでしょう。

しかしここで奥さんはすばらしく美しいカウンターを繰り出したのです。

 

「それじゃ私が遊びに行きたい日は、ここトトが代わりに病院行ってくれんのね?」

 

え?…そっか、なるほどな。

もちろんボクが奥さんの代わりなんかできない。

奥さんもボクの代わりはできない。

でも不妊治療はいつだって二人でうけるもの*。

だからどちらかががんばっているときには、その行為の内容によらず(検査であろうと治療であろうと付き添いであろうと仕事であろうと)もう一方もがんばってないといけない。

 

つまり奥さんが病院にいく、ボクは遊びにいく…。うん、そりゃアウトだわ。

 

理系男子はときに理屈っぽく面倒に思われがちですが、逆に理屈が通っていることならすぐに受け入れるという扱いやすい面もあります。ボクは奥さんのカウンターをあっさり受け入れ、その日のイベントをキャンセルすることにしたのでした(その後友達のほうが都合をつけてくれたので、別の日にイベントには参加できた)。

 

数十回目の受診。ボクにとってはいつも通りの付き添い。車を出して、待合で雑誌を読んで、お金を払う。

奥さんにとってもいつも通りの検査。でもその1回1回、奥さんは職場に頭を下げて時間を作り、恥ずかしい内診をうけてくれている。

 

なんか、鈍感になってしまってたな。ありがとうね、奥さん。

 

*よもやま話「不妊不育治療に向かう夫のモチベーションとは?」参照

 

 

 

次回は「16.ピックアップ障害」です

 

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