採卵が終わり、病室を出て待合室でしばらく待ちました。簡単な内診が終わって診察室へ。
「えーっと13個…採れました」
すごい、13個!最初聞いてた数よりさらに多い。
「旦那さまの精液検査も全く問題ないです。顕微授精は必要ないですね」
よしよし。
「採卵数も多かったので予定通り今回は胚盤胞移植でいきましょう。採れた卵子のうち、精子と受精するのが6~7割、そのうち胚盤胞まで育つのが3~4割といわれています。今回は13個採卵できましたので…2つ、3つくらいは移植できそうですね」
あれ、2つ、3つ?そんなに少なくなるのか。受精率は6~7割、そのうち胚盤胞になるのが3~4割、つまり採れた卵のうち移植できるのは18~28%。またまた低い確率。いちいち高いハードル。
でも予定よりたくさん採れたんだ。きっとうまくいったほうなんだ。喜ばなきゃ。
「受精した数は明日お電話いただければお知らせできます。胚盤胞まで育った数は次の診察の時に。その時移植のスケジュールも決めましょう」
次の日。奥さん、開院時刻と同時にそそくさと電話。
「あの、昨日採卵したいただいたここ村です。受精卵の確認に…はい…はい…
えっ!」
えっ!?
「はい…わかりました、ありがとうございました」
くるりとこちらを振り向いて
「全部だって!」
全部!?
「全部受精したって!」
うそ!6~7割のはずが10割?そんなことありえるの??
ボクたちは抱き合ってよろこびました。奥さんは安心したのかボロボロ泣いていました。
そして次の受診日。
「えーっと胚盤胞、結局7つできました。予定よりずっと多いですね。よかったです」
なんだかウソみたい。今までずーっとうまくいかないのが続いていて…失敗する可能性が高いものはそのとおり失敗して…もううまくいかないのが当たり前になって来ていたのに。待ち望んでいたボクたちの子供が、いっきに7人もできた。や、もちろんまだタマゴだけども。
もらった結果表ではグレードBBが2つのBCが5つ。そっか、グレードAはいなかったか。でも先生によればBでも全く問題ないとのこと。よかった。
「ただ今日の内診でみた感じでは軽いOHSS(卵巣過刺激症候群)になっているようです。残念ですが今月は…ちょっと移植は見送りましょう」
ホントに残念そうな先生の表情。でも奥さんもタマゴたちもとってもよくがんばってくれた。しばらくはゆっくり休んでもらいたい。だからぜんぜん残念じゃない。
ボクも奥さんも不妊治療をはじめてようやく、希望の光がはっきりと見えた気がしていました。ボクは、奥さんと白雪姫の7人の小人みたいな7つ子に囲まれる様子を想像してむふふとしました。や、もちろんまだタマゴだけども。そして7つ子ではないけども。
次回は不妊治療記「23.妊娠率88%!」です