数か月後、ボクたちは2度目の胚盤胞移植に挑みました。
移植したタマゴはグレードBB。着床率30%。今回はAHA(アシステッドハッチング)はアリで。でも別に親不孝なタマゴとは思わない(笑)*。
そして帰り道には前と同じレストランで同じようにパスタをもりもりと食べました。まぁ一つのゲン担ぎ。前の子はたしかに流産してしまったけど、ちゃんと着床して大きくなろうとしてくれたから、今度の子もそうなってくれるように。
そして判定日。
尿検体の提出を終えてしばらくして、ボクたちは診察室から呼ばれました。
あれ?確か前は先に内診があったはずなのに…
診察室に入ると先生はやや渋い表情。
「妊娠反応、出るには出てるんですが…かなり弱い反応です。今は何とか子宮内膜にくっついてはいるけど、このまま成長はしない可能性が高いですね。いま続けているホルモン剤をやめると確実に流産します。少し様子を見るか、あきらめるか…どうされますか?」
どうされますかって…。そんなのよくわからない。
「確実に流産する」という言葉はボクたちにはとても刺激が強い。せっかくボクたちのタマゴはがんばっているのに、みすみすあきらめたくはない。でも先生の口調からは、あまり望みがありそうには感じられない…。
たぶん奥さんもまったく同じ気持ちだったと思います。お互い顔を見合わせて、でも決めきれない。
見かねた先生が
「じゃあとりあえずこのまま様子をみましょうか。2、3日後に再検査をして数値が上がっているか診ましょう」
3日後の再検査まで、奥さんにはできるだけ健康的な生活を送ってもらうようにしました。
バランスの良い食事をとって
たっぷり睡眠をとって
しっかりお腹をあたためて
お腹のタマゴのために、できるだけのことをしようと思いました。
しっかりくっつくんだよ、がんばるんだよ、なんて話しかけながら。
しかし再検査の結果は…
「ほとんど変わってない…ですね。少し数値は上がっていますが誤差範囲だと思います。ちゃんと着床していたらこの数十倍か数百倍くらいの値がでるはずなんです。おそらくこのままホルモン剤を続けても変わらないと思います。今回はここであきらめましょう」
あぁ、ダメだったか…
せっかく奥さんもタマゴもがんばったのにな。
がっかりするボクたちに先生から出た言葉は思いもよらないものでした。
「不育症の検査をしましょうか」
*「24.え!妊娠した!」参照
次回は不妊治療記「31.不育症」です