ボクは奥さんに不妊カウンセリングを受けることを勧めました。はじめは渋っていた奥さんも、少し考えてそれに同意してくれました。
奥さんはもともと、人見知りでとても怖がり。カウンセリングを受けるなんてすごく勇気のいる決断だったと思うけど、裏を返せばそうせざるをえないくらい追い詰められていたのかもしれません。
ボクたちはクリニックに予約の電話を入れ、その日が来るのを待ちました。
カウンセリング当日の奥さんは朝からとても緊張して見えました。
「1時間も何話したらいいのかな?」
「別に悩んでるってほどでもないんだけどな」
「話すこと無くなって気まずくなったらどうしよう」
「大丈夫だよ。うまく話せるようにしてくれるよ。相手はそれが仕事なんだから」
夫婦でカウンセリングを受けることもできたけど、この時はボクがいないほうがいいと思いました。ボクに対するストレスだってきっとあったと思うから。
ボクは奥さんをクリニックに送り届け、しばらく外で時間をつぶしました。
1時間後にクリニックに戻ってみると、待合で待っているはずの奥さんの姿が見えない。どうもまだカウンセリングが続いているらしい。大丈夫だろうか。
結局奥さんが出てきたのはその40分後。40代女性のカウンセラーさんと。真っ赤なパンダ目で、泣き笑いながら。
「待たせてごめんね。すごくたくさん話聞いてもらっちゃった」
なんか前よりすっきりした顔してる。パンダ目だけど。
カウンセラーさんもにこにこしながら
「ご主人さん、お待たせしてごめんなさいね。つい話が盛り上がってしまって(笑)。でもたくさん悩んでいること話してくださいました。またいつでもいらしてくださいね」
そうしてボクたちはカウンセラーさんに深くお礼を言って帰りました。
この話もうちょっと続きます。
次回は「34.不妊カウンセリング3:子供欲しいに訳はない」です。