42.レモン

 

 

夢を見ました。

ココの夢です。 

 

夢の中のココはまだ赤ちゃんで、両手で自分の顔の大きさほどもある、大きなレモンを抱えて遊んでいました。

においをかいだり、ほっぺたをくっつけてヒンヤリした感触を楽しんだりしていました。

 

ボクがレモンを二つに切って中を見せてやると、ココは不思議そうにのぞきこんでから、その切り口にチュッと口をつけました。

 

きっとすごく酸っぱかったんだと思うけど、ココは酸っぱいなんて言葉をまだ知らないから、かわりにボクにヘンテコなしかめっ面をしてみせました。

 

その顔があまりにおかしくて、ボクは大笑いしてしまいました。

 

 

目が覚めて、それが夢だとわかったときは寂しかったけど、それでもココに会えたのがうれしかった。

 

ボクはいつものように仕事に出かけ、帰りにレモンを一つと、めったに飲まないレモンサワーを買って帰りました。

 

「あれ、今日はレモンサワー?珍しいね」

 

「うん。ココはね、レモンが好きなんだって」

 

ボクがそう言うと、奥さんはフフフと笑っていました。

 

レモンをココの写真の前において、ボクたちはみんなで乾杯をしました。

 

あたたかい、とても静かな夜でした。

 

 

 

「天使のはなし」おわり。

次回はよもやま話「不妊治療記を寄せました」です。

 

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