45.卒業

 

10週目の受診。やはりドキドキする。「もう動いてない」なんてことだってまだ十分ありうる。

奥さんの内診、この一人の時間。浅い呼吸、時間感覚が狂う。ボクはこの待合室で、そこそこに寿命を縮めた気がする。

 

奥さんが出てきて、ボクに微笑んで、ようやくまともに息ができるようになる。奥さんはいつもLINEで内診の結果を教えてくれる。

 

「29mmだって」

 

そして…最後の診察。

先生は、紹介してもらった○○総合病院の先生に会ってきた話をすると、あの人、早口で何言ってるかわからないでしょう?なんて言って笑っていた。でも信頼を寄せている関係であるのは伝わってきた。この先生が信頼してる人なんだから、と安心した。

 

先生は分厚くなったカルテの最初のページを見て、

「はじめて来てもらってから3年近く…経ったんですね。実はここ村さんはもう少し早くご卒業かなと思ってたんですけどね」

えへへ、すみません(;^ω^)。

 

「凍結卵がまだ3つ残ってます。どうするかはお決めになってますか?」

「できれば…2人目も考えているのでこのまま残しておきたいと思います。もしその場合はいつ頃受診したらいいでしょうか?」

「そうですね、授乳中は体外受精はできないので断乳してもらってからになりますね。ではまたその頃にいらしてください」

そしてボクたちは深く深くお礼を言って診察室を出ました。いくら感謝しても足りないくらいでした。

 

受付でお金を払った後、いつもなら受付のスタッフさんと次回予約の話になります。

「次回は○日ですね。何時をご希望ですか?」だとか。

「ではまた次の生理が来たらお電話くださいね」だとか。

 

でも今日はその話はなく、ただニッコリと

 

お疲れさまでした。どうぞお大事に。

 

そうなんだ。今日で卒業なんだ。次回予約はもうないんだ。急に実感がこみ上げてきました。

 

はじめてクリニックを訪れてから2年10か月。不妊に悩み始めてからだと約4年。とても長かったけど、なんだか最後はあっけなかったような気もする。

そういえば先生もスタッフさんも最後まで「おめでとう」とは言わなかったな。まだまだ安心なんかできないんだ。まだまだ苦しい時間は続くんだ。みんなそれが分かってる。子供ができて、元気に産まれてくることはちっとも当たり前のことなんかじゃない。きっとボクたちの子供が無事に産まれて、患者さんのいなくなった後のクリニックをこっそり訪れた時、そこではじめてみんな安心して、「おめでとう」と言ってくれるんだろう。

 

 

ボクと奥さん、2人で始めた不妊治療。

 

そして2人が3人になりました。

 

まだみえない小さないのち。

 

その姿をはじめてみる時、ボクはきっとワンワン泣くと思う。

 

でもいいさ、それだけ苦労したんだから。

 

それにボクは乙男(オトメン)だし(笑)。

 

 

そんなわけでついにボクたち、

 

不妊クリニック、卒業(ΦωΦ)!!

 

 

 

 

次回はよもやま話『「不妊治療記」と「天使のはなし」のこと』です


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