大人になって、パパになって、一番びっくりするのは身近な人の事情が、想像以上にバラバラだっていうことですよね。
人の数だけ「普通」があり、「現実」があり、「かなわなかった希望」がある。そして、その人にしかわからない「気付き」や「よろこびも」。
そんな人々がお互いに気を使いながら共通点を探しながら、それでも楽しくやっていこうとする。大人ってえらいなぁ、すごいなぁといつも思います。
ヨシタケシンスケ「ヨチヨチ父 とまどう日々」より
「絵本ナビ」HPより
あんなに避けていた休日のショッピングモールは、すっかりボクたちの定番スポットになりました。たくさんの子ども連れに会います。楽しそうな人も、何人もの子どもを連れている人も、若い人も、中年の人も。
昔なら、そのだれを見ても「幸せそうな家族」だと思っていただろう。結婚して、妊娠して、出産して、育児して。そんなステレオタイプな家族像を当たり前だと思っていただろう。
でも今は、それがちっとも当たり前じゃないことをボクはよく知っています。幸せそうに見えるご家族にも、そのご家族なりの「普通」や「現実」や「かなわなかった希望」があるのかもしれない。それに気づかないだけかもしれない。ベビーカーを押すボクたちの横に、本当はもう一人女の子がいたはずだということに、おそらく誰も気づかないように。
子どもを授かった人。そうなってしまった人。そうしなかった人。そうできなかった人。それを失った人。
この歳になって、いろんな経験をして、改めて思うのは「人にはそれぞれ事情がある」ということ。目の前の人は、ボクが思うほど幸せじゃないかもしれないし、不幸せじゃないかもしれない。今はそうではなくても、幸せになる途中なのかもしれない。でも理解したいのは、尊重したいのは、みんな自分なりには精いっぱいやってるということ。精いっぱい、幸せになろうとしているということ。
そう思い合えるのを、なるほど「大人の世界」というのかもしれないと思います。