いつも通りに仕事を終え、いつものコンビニでお弁当を買って、いつも通り奥さんと病室でご飯をたべる。いつもと違うのはその日が、その最後の日だということでした。
37週1日。帝王切開の前日。
たくさんのスタッフさん、先生たち、すでに他科に移っていた研修医の先生まで声をかけに来てくれました。
いよいよですね。
たのしみですね。
ここまで、よくがんばってこられましたね。
たくさんの気遣いに、ボクたちの不安も和らいでいきました。とてもとてもありがたい気持ちでいっぱいでした。
どうかこのままいつも通りの夜を過ごし、いつも通りの朝を迎えられるように。祈りを残して、ボクは病室を後にしました。
帰りのエレベータホール。
横手にはあの待合室。
フラッシュバックはもう起こらない。それでもボクには、あの子が生きていればと考えない日は一日もない。
あの日あんなことが起きなければ、1歳7ヶ月のココとボクは、今日という日をどう過ごしていたのだろう(あるいは同じようにこの病院にいたのだろうか?)。
そんなこと考えても意味はない。そもそもボクは最初から、意味なんて探してない。
高ぶる気持ちで眠れるかどうか不安だったけど、シャワーを浴びながら少し泣いて、レモンサワーを一缶空けたら眠気がやってきました。いつもと同じ夜でした。
「虹と雨」へつづく
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