リラックス

 

職場でのある日のプレゼン大会のこと。PCを使った長いプレゼンをするときは、聴衆をリラックスさせるために時々全く関係ない画像を挟んだりすることがある。大概は目の保養になるようなきれいな景色の画像だとか、最近行った旅行先の写真だとかを挟んだりするのだけど、その若い後輩の選んだ画像は、まだ小さな自分の子どもの写真だった。

 

別に悪いことじゃない。彼は自分の子どもの写真が、長いプレゼンを聴くのに疲れた聴衆をリラックスさせると思ったのだろうし、実際そうだった人もいたかもしれない。それでもやっぱり少し、違和感が残った。

 

世の中には不妊に悩んだり、流産や死産で苦しんでいる人がいるのだからもっと配慮するべきだ、なんて言うつもりはない。それじゃ片親の人がいるかもしれないから両親の写真を出しちゃいけないのか、結婚に悩んでいる人がいるかもしれないから夫婦の写真を出しちゃいけないのかということになってしまう。そこまでの配慮を他人に求めるのは、やっぱりおかしい。

 

それでも違和感が残ったのは、彼が子どもの写真を自分にとってだけでなく、他人にとってもリラックスできるものだと無自覚に思い込んでいるからだった。それはきっと、彼にとって子供を得るということが別に難しいことでも、とりわけ大したことでもなかったからだろう。リラックスとはかけ離れた、あの押しつぶされそうな泣き出しそうな不安や緊張や悲しみを感じることが、なかったからだろう。

 

彼を責める気持ちはもちろんない。

ただ少し、悔しいだけで。