「自宅でできる遺伝子検査」なんてものが最近はありますね。こういったブログに掲載される広告などでも時々目にします。お金を払ったらキットが自宅に送られてきて、唾液を入れて送り返すと、遺伝子情報をいろいろ解析してくれて、あなた将来こんな病気になりやすいですよ、肥満体質だから食生活気をつけなさいね、だとか教えてくれるんだらしい。
こういったサービスを提供しているのは医療機関ではなくて、実はただの民間企業。“遺伝子検査”なんてバリバリの医療行為に思うけど、別に診療・治療行為に使うのではないのでOKなんだそうな。唾液検査だけじゃなく、ドラッグストアなんかでたまにある自己採血検査(指先からちょっとだけ血をとる)も、まぁグレーゾーンだけどよしとされてる。
こういうことって何となく欧米進んでる、日本遅れてる、みたいなイメージがあるけど、実は民間企業が参入したりできるくらい規制が緩いのは日本とイギリスとカナダくらいなもので、アメリカなんかは今後より規制が厳しくなるなんていうから、なんだかちょっとよくわからない。
民間企業が参入して“ビジネス”になってくると、そこには大きなお金が動くようになって技術開発がますます進んでいく。簡単な遺伝子検査で今まで以上にいろんなことがわかるようになるかもしれません。たとえば不妊症や不育症とか。
自分が不妊症だと簡単にわかれば、早めに不妊治療に踏み切ることができる。
男性不妊が簡単にわかれば、女性は無駄な検査を受けなくて済む。
不育症が簡単にわかれば、悲しい流産を経験する前に対策を考えることができる。
いいことづくめです。ビバ!遺伝子検査。
そしてもっと研究が進めば、いずれは出生前診断や着床前診断で産まれる前から、将来不妊症・不育症になることもわかるようになるでしょう。
おなかの子どもが不妊症や不育症になるとわかって、「そんなのかわいそうだ。我が子にそんな苦労はさせられない!」と思った親は、
いったいその子どもをどうするでしょうね?
命の選別について考えるということは、そういうことだと思う。いつか自分のような人間が、排除される側、産まれる権利を与えてもらえない側に立つのかもしれない。
簡単に決めていいことじゃない。絶対。
次回は「ささやかな記録」です