12.ココの部屋

 

ココがまだお腹にいるとき、ボクたちは「ジーナ式」という育児方法にとても興味を持っていました。「ジーナ式」というのはジーナ・フォードというイギリスの女性が提案した方法。普通はお腹がすいたらミルクを飲ませる、眠そうなら寝かせる、と赤ちゃんのリズムに合わせて世話するわけだけど、「ジーナ式」は赤ちゃんの生活スケジュールやミルクの量を、とても厳密に管理してリズムを作ってやる方法らしい。そんなの結構個人差のあることなのでは…とも思うけど、うまくいけば夜はばっちり寝てくれるようになるし、実際うまくいってすごくラク、みたいな人もいる。うん、やってみたい。

 

ジーナ式に不可欠な要素、それは「完全に遮光した寝室」。寝てる途中で目を覚ます→ぐずる→仕方なくミルクやる、みたいなことになるとスケジュールもへったくれもないので、寝ている間は深く深く眠ってくれるようにする必要があるんだそう。だから遮光した真っ暗な部屋で一人で寝かせるのが基本。

 

そこでボクたちは部屋の天井高を測り、ピッタリ床までの長さの遮光カーテンを注文しました。慣れない電動ドリルで天井にカーテンレールをねじ止めし、汗だくになりながらカーテンを取り付けました。

パーティションで作ったココの部屋。そこにベビーベッドや、ココの洋服をいれた小さなチェストや、授乳の時用の大きなビーズクッションをおきました。

クッションに寄り掛かって、ココを抱く真似をして、ココにミルクを飲ませる真似をして。

本当にそんな日がもうすぐやってくると思っていた。

 

 

ココがいなくなってからも、ボクたちはその部屋を片付けることはできませんでした。ベビー服や、まだ箱から出してもいない体温計や、取り外したチャイルドシートが、そこにただ申し訳なさそうに置いてありました。よせばいいのにときどきカーテンの隙間を覗いては、空っぽのベビーベッドを見て、また泣きました。

 

 

もうすぐこの部屋はべべのための部屋になる。ほとんどのものはそのまま使えるだろう。べビー布団はちゃんと洗って天日干ししてやらないとな。チェストの中は女の子用のピンク色の服ばかりだから、男の子用を買い足さないと。体温計も電池が残っているか確認しておこう。

ジーナ式は…たぶんやらないだろう。真っ暗な部屋で一人で寝かせておくなんて、きっと怖くてできない。多少ぐずって寝なくなって、夜中に何度も起こされることになっても我慢しよう。ずっと目の届くところにいさせよう。

 

もうすぐ28週。7割まで来た。あと少しだ。さあそろそろ、べべを迎え入れる準備を始めよう。

 

 

でもやっぱり、物事はボクたちの望む方向には進みませんでした。

 

 

 

切迫早産」へつづく

 

 


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