このイラストをみると、ボクはいつも胸がいっぱいになります。この理不尽な(笑)二人の位置取りに、父親の喜びがあふれているように思うのです。
このイラストはウクライナ人アーティストのSnezhana Sooshさんという女性によって描かれています。
キングサイズベッドの真ん中に眠る女の子。端っこで小さく身体を丸めて眠る父親。もちろん寝苦しい。でも気持ちよさそうに眠るこの子のためなら、そんなこといくらでも我慢できる。
大切な誰かのために自分を犠牲にできる喜び。よくよく考えるとなんとも不可解な心情ではあるけど、たぶん誰にだって理解できるはず(逆に言えば、自分を犠牲にしても良いと思えるほど大切な人がいるという喜びなのかもしれない)。
天使のはなし「出生前診断」でも書いたとおり、ボクはもうすぐ産まれてくるあの子に障害や大きな病気がないか、本当は少し怖かった。偏見や差別意識なんかまったくないし出生前診断も受けなかったけど、それでももし自分の子が、と思うととても不安だった。社会的にとか経済的にとかいうことではなく、自分自身がその子に心からの愛情を持てるかどうか、不安だった。
でも産まれてきたあの子を見た時、あの子はもう生きてはいなかったけど、それでもボクは心の底からこう思った。
「この子のためなら、ボクは何だってできるな」
障害とか、病気とか、見た目とか、性格とか。この子を愛おしく思う気持ちに、たぶんそんなこと全く関係なかっただろうなと思う。どんな苦労や犠牲を払っても惜しくないと思う気持ちにも。
もちろん障害や病気のある子供を育てる苦労は、きれいごとでは済まないほど大変なものだろうし、世の中には死ぬよりつらい病気があることも知っている。我が子の死を選ばざるを得ない状況があれば、ボクだってそうするだろう。でもそれはその子に愛情を持てないという話じゃない。そんなこと不安に思う必要なんて何もなかったんだ。
だからまた奥さんのおなかに次の子がやって来ても、その子がどんな子かなんてことでボクはもう怖がったりしない。その子に心からの愛情を注いでやれることを、ただただ楽しみに思えるに違いない。今ではそう確信しています。
最期にもう一枚Sooshさんのイラストを。
雲の上の女の子は気持ちよさそうに眠り、その雲は柔らかな雨を降らせます。幸せな虹がいつかかかることを、この子もきっと願ってくれていると思うのです。
次回からは「天使のはなし」に続く新シリーズ!
「虹のこども」です