14.入院生活

 

切迫早産で緊急入院した奥さん。「切迫早産」なんて聞くと、今すぐにでも出てきてしまいそう!な状態なのかと思いきや、そこまで切迫しているわけでもないらしく、とりあえず貼り止めの点滴を打ちながら安静、安静、また安静。NST(ノンストレステスト)が1日1回。心音確認が1日2回。エコー検査が週2回。もし何か異変が起こったときも、今なら最速で気づいて処置してもらえる。この状態が奥さんにとってもべべにとっても一番安全なわけで、考えようによってはそれほど最悪な状況でもないのかもしれない。べべの胎動も日に日にパワフルになってきている。

 

しかしながらかなりお腹が張りやすい状態であるのは確かで、トイレに立った時や座ってご飯を食べた後などはボクが触っても分かるくらいキューっと固くなる。大事なのはやっぱり安静、安静。奥さんはひたすら退屈と戦いながら、毎日がんばってくれていました(ちなみに横向きに寝たままでも読める、タブレットの電子書籍が大活躍しました)。

 

ボクの方も生活が一変しました。定時に仕事を片付け、洗濯したタオルやら着替えやらをカバンに詰めて病院へ向かう。面会時間ギリギリまで奥さんと過ごして、帰り際に夜のヘパリン注射を手伝って、汚れ物を袋に詰めて持ち帰る。洗濯機を回して、一息ついて、お風呂に入ったらあっという間に一日が終わってしまいました。

 

病室にあった入院手続きの書類には「予定入院期間:2か月」。2か月もこの状態が続くのか。

 

ヘトヘトになりながらも不安と寂しさでよく眠れず、毎日のようにろくでもない夢を見ていました。

入院しているのが一番安全とはいえ、物事はあっという間に最悪な状況に陥るということを、ボクたちは既に経験している。安心なんてなかった。まぁ大丈夫だろう、なんて思えなかった。唯一、ココウサギが横にいてくれることが、心の拠り所でした。ほんのりした笑顔のココウサギが、いつもこう言ってくれているように見えました。

 

トト、ママ、大丈夫。うまくいくよ。

 

不安で押しつぶされそうなボクたちを守ってくれていたのは、ココでした。ボクたちが大切に守ってきた小さな天使が、今度はボクたちのことを守ってくれているような気がしていました。

 

 

 

甘い匂い」へつづく