亡くなった子の写真

 

あの子が亡くなって、あの子のお葬式をあげてやる日までに撮った写真は1000枚以上に上ります。もちろん中にはピントが合ってない写真もあるし、何が撮りたかったんだかわからないのもあるし、泣いているボクたちが写っているものもある。それでもキレイにとれたものも何枚もあって、本当にかわいらしいあの子の姿や、しあわせそうにあの子を抱いているボクたちの写真は、今でも心を癒してくれるし、これからも一生大切にしたいと思っています。

 

でも正直にいうとボクははじめ、亡くなった子の写真なんて撮ってもいいものなのかどうか少し迷っていました。例えばお葬式で棺の中の故人や、お墓の写真を撮る人はあまりいない。子供のころ流行った「心霊写真」なんてものの影響もあってか、なんとなく「死」に関わるものの写真は撮ってはいけないような気がしていました。奥さんに「撮ってやろうよ」といわれてからは夢中で撮っていたけど、とりあえずはじめはそうでした。

 

ボクと同じように迷う人はきっといると思う。経験から言うと“絶対に”撮ったほうがいい。亡くなった子の写真だけじゃなく、パパさんママさん、しあわせな家族の写真をたくさん。

 

ボクたちがあの子を抱いてお互いに撮りあった写真は、自分たちでも驚くほど穏やかなしあわせそうな顔をしています。長い妊娠生活、苦しく悲しい出産を乗り越えた疲れや安堵感。産まれて姿を見せてくれたことへの感謝。父親になれたこと。母親になれたこと。その写真はいつも、あの子の誕生が「祝福すべきもの」であったことを思い起こさせてくれます。

 

海外には死産児やその家族の写真を撮ってくれるプロのカメラマンがいるそうです*。こういうことって死生観だとか宗教観だとかが絡んでくるので、そのまま日本でも受け入れられるかどうかは分からないけど…でもこういう選択肢が日本でもあればいいなと思います。例えば単純に亡くなって産まれてきた子は肌の色なども変わってしまいやすい。でもきっとライティングだとか色調だとか、プロのカメラマンならそれを目立たなくするテクニックだってあると思う。

その子と過ごせるほんの短い時間。少しでも美しく、その時間を残して欲しい。そしてその子とその家族が祝福されるべき存在であることを、いつまでも写し出してくれるものであって欲しいと思います。

 

*私たちの赤ちゃん、安らかに――死産の子供と夫婦の「家族写真」

 

 

 

次回は「泣きたいときにきく音楽」です