たくさんの人に見守られながら順調に育っていくおなかの子を、ボクたちは「ベベ」と呼ぶようになりました。
まぁさすがにまだだよね~と言いながら、10週ごろから再び使い始めた心音計。しかし翌週にはべべは元気な心音を聞かせてくれるようになりました。
「トクトクトクトク」
多くの人にとっては、おなかに宿った子どもが順調に育つなんてごく当たり前のことだろうけど、それを確認させてくれるこの愛しい心音が、ボクたちには奇跡の音に聞こえました。
日を追うごとに心音は強く、しっかりしたものになっていきます。
「トクントクントクン」
この頃になってくると、心音計を当てているときのべべが起きているのか、寝ているのかわかるようになってきました(もちろん想像だけど)。寝ているときはずっと同じ場所で心音が聞こえてくるけど、起きているときは近づいたり遠ざかったり、はたまたどこかへ行ってしまったり。しかもそんなときは聞こえてくる音も少し違うのです。
「トクントクントクポコン!」
突然入ってくるポコン!の音が聞こえるとき、ボクたちはいつも、べべが子宮の壁をパンチしたりキックしたりする様子を想像していました。
ん~今日も元気だ。よかったよかった。
しかし、毎日のルーティンとして(ボクたちはいつも朝晩のヘパリン注射のあとが心音タイムでした)それを繰り返していくうちに、あることに気づきました。
あれ?べべ、なんかいつも起きてない?
ネット情報によれば胎児は20分寝て20分起きるサイクルを繰り返しているらしい。ということは1日の半分を寝て過ごしているわけだから、心音計を当てる時の2回に1回は寝ているはずだ。でもべべは確実に2回に1回以上、なんなら3回に2回くらいは起きてポコン!を鳴らしていました。
もしかしてこの子…あんまり寝ない子なんじゃないか?
夢に出てきたべべらしき赤ちゃんは、とてもデカくて重い子だった。ちょっと「たかいたかい」しただけで腕がパンパンになるほど(実際、健診のエコー検査で写るべべは実週数よりいつも少し大きかった)。
デカい。
重い。
とにかく元気。
そして、なかなか寝ない…。
ココが可憐で小さな花なら、べべは…巨大怪獣。
ホントに大丈夫だろうか?ボクたちの手に負えるだろうか?
そんな勝手な想像に恐れおののきながらも、奥さんのおなかはどんどん大きくなっていきました。
*天使のはなし「06.心音計」もどうぞ
「07.フラッシュバック」へつづく