選択のパラドックス

 

ときどき都市部に出張に出かけることがあって、そのときはホテルを自分で予約するのだけど、大概はなかなか決まらなくて困ってしまう。

まずはホテルを探すためのインターネットサイトを決める。目的地のすぐ近くのホテルなんて高くてまず泊まれないからそこから1駅2駅離れた駅近で…なんて探し出すと今度は似たような条件のホテルがわんさか出てくる。似たような名前、似たような料金、似たような部屋の広さ。似たようなものなのだからどこでもよさそうなものだけど、どうせなら少しでもいいところをと思ってしまう。こっちのほうが少し駅に近い、こっちのほうがポイントが多く付く、なんて。で、ようやく決まりかけた時に「タオルが湿ってました。もう絶対使いません!」なんて口コミを見つけてしまって、おいおいとまた他のところを探し出す。やっとこさ決断した後に、そういえば他のサイトならもっといいホテルがあるのかな?なんてことが頭をよぎる。あぁ…キリがない。

 

旅行で行くのならそんなことも楽しいのかもしれないけど、仕事で使うビジネスホテルなんて結局は「不都合がなければよい」程度のものなのだから、苦労して選んでもなんの満足感もない。はじめからこんなにたくさんのホテルがなければいいのに、選択肢がなければこんなに苦労しないのに。

 

以前このブログ上で行った不妊治療に関するアンケートの結果をみると、2/3の方は「病院を変えたこと、または変えたいと思ったことがある」と回答している。おそらくは結果が出ないとか、治療方針が合わないとか、先生とそりが合わないとか。

ボクたち夫婦は地方に住んでいるから、不妊治療の病院を選ぶときにも選択肢なんてなかった。「自宅から通える、休日夜間診療している」という条件だけですでに一つしか該当する病院はなく、否応なしにそこに通うことになった。web予約もドリンクサービスもなかったけど、ありがたいことにそこには信頼できる医師がいて、一緒に泣いてくれるスタッフさんがいて、しっかり結果を出してくれる技術があった。

 

もしボクたちが都市部に住んでいて、病院選びにももっと選択肢があれば今より幸せだっただろうか?ボクのことだから、こっちの病院のほうが治療成績がいいぞ、こっちの病院は○○法がメインなのか、こっちのほうが駐車場が広そうだ、こっちの病院の医師は○○大学出身だ…。そんなことを調べ倒して疲れ果ててしまうだろう。そして選んだ病院で少しでも結果が出なかったら、あるいは少しでも不愉快なことがあったら、「あぁ、やっぱりあっちの病院にしておけばよかったかな、今からでも転院したほうがいいのかな」なんて考えてしまうに違いない。

 

「選択の自由」なんて聞こえはいいけど、逆に言えば「選択しなければいけない不自由」があるともいえる。しかももし悪い結果になった場合には、それを選択した自分も悪いことにもなってしまうから、そうならないようますます迷い、悩み、検索魔になって疲れ果てる。

 

情報をたくさん集めて、正しい知識を身に着けて、正しい選択をして。それももちろん大事なんだけど、ずっと続けるのはやっぱりしんどい。どこか任せきって、頼り切って、ダメだったらこの病院のせいにしちゃおう、この先生のせいにしちゃおう、なんて考えるのも気楽でいいのかもしれない。

 

まぁ田舎者の開き直りだと言われるとそれまでなんだけど(笑)。

 

<参考動画>

 

 

 


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