ココのお葬式を取り仕切ってくれたのは、まだ若い住職さんだった。20代前半だろうか。すこしぽっちゃりした丸刈りの住職さん。お葬式の仕切りもまだそんなに慣れていない様子だったけど、一生懸命、誠実にやってくれた。その後もお参りするボクたちを見つけると、いつも気さくに話しかけてくれていた。
年末、ココのお地蔵に正月の飾りつけをしてやろうとお寺を訪ねた時、その住職さんからもうすぐお寺を去ることを聞かされた。そしてこう言われた。
「お子さまのお葬式を務めさせてもらって、その後もご夫婦でお参りされているのを拝見していました。お二人で悲しみに暮れておられる様子を見て、なんとか慰めの言葉をと思っていたのですが、いつも私はなんとお声掛けしてよいやらわからなくて…。本当にすみませんでした」
もちろん、謝ってもらう必要なんかまるでなかった。
この住職さんがいつも
「今日はいいお天気ですね」だとか
「あそこに植えた花がもうすぐ咲きそうですよ」だとか
「このあいだTVが取材に来たんですよ!」だとか(笑)、
そんな他愛もない話を、ニコニコと目を細めながらしてくれることに住職さんなりの心遣いを感じたし、そんな和やかな場所でココのお地蔵を祀ってもらっているのはとても安心できた。慰めの言葉なんてなくても、その人はいつもボクたちに温かかった。ありがたかった。
聞けば住職さんは年明けからタイに修行に行くそうだ。それはまた本格的ですね!と驚いたら、へへへと照れ笑いしていらした。「もうすこしスリムになって帰ってきます」なんておっしゃっていたけど、少しぽっちゃりしているほうが、この人のキャラに合っているような気がした。