人生で一番悲しい日を挙げるとするなら、それはココが亡くなった日ではなく、ココと最後のお別れをした、あのお葬式の日だったと思う。
ココが産まれて亡くなった日は、目まぐるしく変わっていく出来事や感情をただ傍観し、受け入れるしかなかった。ボクの意思は関係なかった。
でもあのお葬式の日は、ほかならぬボクが決めた日だ。ボク自身があの日をココと別れる日と決め、いくつかの手続きをして、そして最後の最後、ココのお棺を火葬炉に入れるように係の人にお願いしたんだ。
あと数分、数十秒、ココとお別れする時間を引き延ばすことはできたと思う。係の人に「もう少しだけ待ってください」と言えば、きっと待ってくれたと思う。
そんなことしたってキリがないし、迷惑がかかるし、何の意味もないと思った。でももし今、あの時ボクが手放した数十秒間を取り返すことができたらどんなに幸せだろうと、ふと思うことがある。
あの日はとても寒くて、確か昼過ぎからは冷たい雨も降ってきたんだった。先週からの大寒波のせいか、最近そのことをやたらと思い出す。
そしてまた、悲しくてたまらなくなる。
こちらもどうぞ↓