タンデムシート

 

どんな意味があるのだろう。前を走るバイクのタンデムシートには、小さな虎のぬいぐるみがくくりつけられていた。

 

もちろんただのファッションかもしれない。深い意味なんて何もないのかもしれない。本当はそのシートに座るはずだった、大切な人の代わりだろうかなんて、勝手な憶測なのかもしれない。

 

それでもそう思うのは、本当に大切なものは、いつもどこかに隠れているからだ。

 

今年は、亡くなった義父が植えてくれた、あの桜が咲いた。この桜に込められた、叶わなかった願いに気づく人は、たぶん誰もいないだろう。

 

それでいい。露わにしないのは、大切に想う気持ちとは何も相関しない。